旅馬の舞台裏

明石海峡のフェリー事情

明石海峡大橋が架かるまで

かつて、明石海峡大橋が架かる前、本州と淡路島を結ぶフェリーは数社が存在していました。

和休が学生時代を過ごした西宮からも、淡路島の津名港とを結ぶ甲子園フェリーが就航していて、よく利用した思い出があります。

ゴールデンウィーク中などは、船に乗るまで数時間待つこともしばしばでした。

最後まで残った たこフェリー

月日は流れ、1998年4月に明石海峡大橋は供用を開始しました。

このとき、ほとんどのフェリー会社は撤退し、最後まで残ったのが、たこフェリーの愛称でおなじみの明石淡路フェリーです。

明石海峡大橋なら数分で海上を渡りますが、たこフェリーを利用すると、明石港から淡路島の岩屋港まで約20分ぐらいの船旅を楽しむことができました。

当時の明石海峡大橋は高額の通行料が設定されていて、大学生だった和休が淡路島に渡るのはフェリーと決まっていました。

社会人になり、CB400SFを購入してからちょくちょく淡路島へ渡りましたが、概ねたこフェリーを利用していました。バイクの場合、たこフェリーに乗ることで小休止できるのもメリットでした。

淡路島一周をアワイチと呼ぶそうですが、アワイチルートは約180~200kmぐらい。

ショートカットのルートも選べるし、急用ですぐ帰らなければならなくなったときでも、高速道路で神戸へ戻ることもでき、日帰りツーリングにはもってこいのコースです。

県道76号線から沼島を眺める
国生み伝説の島・沼島(ぬしま)を臨む

たこフェリーが廃止されて困ったこと

2007年民主党が政権を取り、公約の目玉であった「1000円高速」が導入されました。

この政策には良い面も悪い面もありましたが、悪い面の影響で全国各地で船会社は廃止に追い込まれてしまう事態が発生しました。

たこフェリーもその一つで、2010年11月をもって運航を休止。平行する航路を有していた淡路ジェノバライン(高速艇、徒歩利用客のみ乗船可能。)がその航路を継承し、復活の期待もありましたが、そのまま復活することなく会社は解散になりました。

このあおりをモロにくらったのが、徒歩利用客、自転車、125cc以下のバイクです。

徒歩利用客は、淡路ジェノバラインを利用すればよいのですが、自転車、125cc以下のバイクは淡路島と本州を行き来できなくなりました。

1000円高速vs船の決着が、高速道路が無関係な自転車やバイクに波及するという、なんとも皮肉な結末になりました。

しばらくして、淡路ジェノバラインが自転車の搭載を可能にしましたが、今もなおバイクは海を渡れません。

解決策が協議されています

この問題は、「明石海峡海上交通に関する協議会」により協議が重ねられており、2014年1月に開催された協議会で、新たに船1隻を造ることを合意。

2015年夏を目途に、国が乗り場の整備を行い、自治体が船の建造費を負担して実現するようです。

これとは別に、淡路ジェノバラインも1隻をバイクの搭載が可能になるよう改造を施すらしく、たこフェリー休止から5年を経て、ようやくこの問題は解決しそうです。

2008年12月2日 あさしお丸